がんばる農業者紹介

徳島県を代表する「すだち」をつくる面白さ。

大仲香織さん

現住所:徳島県名東郡佐那河内村
経営品目:すだち
経営面積:70a

祖母の怪我がきっかけですだち農家の後継者に

就農のきっかけを教えてください。

うちはずっと兼業農家だったので、会社勤めをしていた父の代わりに、母と祖母が農業をしていたのですが、ちょうど私が30歳のときに祖母が足を痛めてしまって…。そこで私が畑を見ることを決心したんです。当時は勤めに出ていましたが、小さい頃から家の手伝いはよくしていましたし、二人姉妹の長女でしたから、いずれは農業を継ぐ日がやってくるとは思っていました。

 

つくっている作物はどんなものですか?

すだち

徳島県を代表する香酸柑橘類である"すだち"です。私が小学生の頃まではみかん農家だったのですが、大寒波でみかんが全滅してしまった年があり、それからすだち農家へ転身したという経緯があります。一般的なすだちのほか、徳島県から依頼されて試験栽培から協力していた「徳島3X1号」も育てています。「ニューすだち」という愛称を持つこの品種は、切り口が鮮やかな緑色で、種がほとんど入らないことが特長です。また、とても香り高い点も消費者から喜ばれています。

佐那河内村で「一年一作」の試行錯誤を続けて

この土地の特徴はどんなところですか?

大仲さん

佐那河内村は東西に長い中山間地域で、徳島県で唯一の“村”でもあります。農業も盛んで、私たちがつくっているすだちを筆頭に、キウイフルーツや青ねぎ、椎茸や菜の花、苺やみかん、青唐辛子など、季節に応じていろいろな作物を育てている農家さんがいます。高齢化も進んでいますが、活性化のために移住にも力を入れている地域の一つでもあるんですよ。また、気候の特徴としては、夏場に雨が少ない点が挙げられます。こればかりは仕方がないとはわかっていても、すだちの実が太ってほしいときに雨が降らないと、やきもきしてしまいますね。

農業の苦労と喜びはどんなところですか?

大仲さん

そうですね…。「農業」と一言で言っても、野菜と果物では大きな違いがあります。特にすだちのような果樹は「一年一作」という言葉が示すように、一年に一度しか収穫できないため、無事に収穫できるまではまったく気が抜けません。たとえば、前年の花の付き具合であったり、冬場の樹の状態などを見ながら、どのように手をかけていくかを考えるのですが、ずっと試行錯誤の連続です。「これをやっておけば大丈夫!」という絶対の方法はないんですよ。すだちの出来が良かった年は、それまでの苦労が報われるわけですから、嬉しさがありますね。

何でも質問できる相談相手を見つけておこう

これからやっていきたいこと、展開していきたい方向性は?

大仲さん

県の担当者に相談して加工業者の方を紹介していただき、昨年、収穫したすだちの果汁を今年度は初めて瓶詰めしてみました。これからはこのすだち果汁をオリジナル商品として、県内の農産物直売所などで販売していく予定です。以前、私は徳島県農業大学校で社会人向けに開講しているアグリビジネススクールに通っていたのですが、そこで6次産業化に関してもいろいろと学びました。これからの農家にとって、6次産業化は注目のキーワードの一つだと思います。今年度から取り組みを始めたすだちの果汁は、料理や菓子などの材料として、業務用に使ってもらえる可能性もあるのではないかと期待しています。

新規就農を考えている方へメッセージをお願いします!

大仲さん

あまり偉そうなことは言えないのですが、最初はどんな作物であっても、きちんとつくることができるように努力することが大切だと思います。そして、安定して良質の作物ができるようになってから、自分たちがつくった野菜なり果物なりを「どこで」「どのように」「誰に対して」売りたいかという3つのポイントを考えていきましょう。出来の良い作物には必ず周囲からリアクションが出てきます。6次産業化や作物のブランド化というステップはそれからの話ですね。また、わからないことを質問できるような相談相手を見つけておいてください。たとえば、県や市町村の担当課はもちろん、地域の農業支援センターや農協の青年部会などは強い味方になってくれるはずです。アグリビジネススクールのような学びの場やマルシェのようなイベント、FacebookのようなSNSもつながりをつくるには役立つのではないでしょうか。農業はとてもやりがいのある仕事です。新たにスタートしようと考える方は頑張ってくださいね。

活用した補助事業