がんばる農業者紹介

作物の育成と同じレベルの熱意を経営にも注ぐ。

藤原昌樹さん

藤原昌樹さん

現住所:徳島県美馬市美馬町
経営品目:水稲・ブロッコリー・白ネギ・サラダケール
経営面積:水稲(10ha)、麦(3ha)、ニンニク(70a)、タマネギ(50a)、ブロッコリー(1.3ha)、白ネギ(40a)、ケール(10a)

土地の適性や時代の流行などを見極めていく

就農のきっかけを教えてください。

藤原昌樹さん

農業を始めたのは21歳のときですね。農業大学校を出てから親元で就農して、今から2年前の2015年に有限会社美馬グリーンサービスの代表取締役に就任しました。子供の頃から家の手伝いはしていたんですが、あまり農業には関心がなくて。実際のところ、自分が家を継ぐことは考えていなかったんです。最初は土地に根づいた仕事がしたいと思って、不動産取引法務の専門家である宅地建物取引主任者(現在の宅地建物取引士)の資格を取得したりもしていました。

つくっている作物はどんなものですか

お米

メインは「徳島美馬米」と名づけられた美味しいお米。有機肥料を中心に3種類から4種類の肥料を与えて、大切に育てています。一つひとつの粒がしっかりしていて、県内でもトップクラスの甘さを持っている点が大きな特長です。袋に描かれているマークは、平家物語の「宇治川の先陣」に登場する名馬“池月”をモチーフとしたもの。そのほかには、ブロッコリーや白ネギ、タマネギなどの野菜もつくっていて、今年からはサラダ用ケールにも挑戦しています。

お米

 

独自の農法や工夫にはどんなものがありますか

 

稲

消費者の方々が注目しているのは「オーガニック」や「健康志向」といったキーワードです。殺虫剤を極力使わないようにするなど、味はもちろん、できるだけ安全・安心な野菜をつくることを考えています。また、自分がつくった野菜をどのように売っていくかということにも工夫を凝らしたいところですね。東京のデパートなどに視察へ行くと、どの野菜もシールやテープ、パッケージまで美しい。味だけの勝負だったら負けていないと思いますが、そういう部分まで含めてレベルアップしていかなければ、これから新しい販路は開拓できない気がします。

いろいろな人とつながって情報を交換する

この土地の特長はどんなところですか

軽トラック

県西部にある美馬市は気温の差が大きく、作物の味にも影響が少なくありません。夏でも地中温度が低めで推移している点も特長だといえるでしょうか。今年から挑戦しているサラダ用ケールは、そんな土地の長所を利用して、夏場でも出荷できるように標高550メートルの畑でつくっています。いわゆる“青汁”の原料として知られるケールには苦味が強いイメージがありますが、サラダ用ケールは名前のとおり、都会のおしゃれなカフェなどではシーザーサラダに使われるなど、柔らかく苦味も少ないので、生食に向いている点が特長。オリーブオイルで炒めるソテーやパスタとも相性がいいので、ズッキーニのように少しずつ浸透していくと嬉しいですね。

農業の苦労と喜びはどんなところですか

サラダケール

自分自身でいろいろ試すことができる点は面白いですね。土地の適性や野菜の個性を見極めて「これだ」と思うやり方で結果を出していく。たとえば、サラダ用ケールは反応が良いので、育てていて楽しいんですよ。水や肥料の分量を変えるだけでも、すぐにフィードバックがある。だから、初めてチャレンジした今年よりも、来年はもっと質の良いものをつくれると思います。

農業を続けていく秘訣は?

藤原昌樹さん

時代の流れにどう乗っていくかを考えていくこと。一言で農業と言っても「外食系」「産直市系」「スーパーマーケット系」というように、つくる野菜の行き先によって、どのように売っていくかを見据えていかなければなりません。そのためには常に情報を入手する必要があります。

2012年には美馬地区の農業青年クラブの会長、2014年からは徳島県農業青年クラブの副会長になりましたが、こうした役職に就いたのは、ほかの地域の情報を積極的に得ていきたいから。各地域の後継者の会合も回りましたし、今でも週に一度は徳島市まで出るようにして、同じ農業をやっている人たちだけではなく、異業種の人たちともつながるようにしています。自分一人でやれることなんて、たかが知れているんですよ。情報や手法は独占せず、自分の道をみんなの道にするくらいの気構えを持つことが大切だと思っています。

重要なのは経営者としての視点を持つこと

これからやっていきたいこと、展開していきたい方向性は

精米機

美馬グリーンサービスでは先代からスタートした「ファームサービス事業」に力を入れています。これは地域の農家さんの米づくりにおいて、田植えから収穫までの各工程で依頼された部分を請け負う事業ですが、もっと大きくしていきたいですね。今は脇町や三加茂の周辺まで約70戸の顧客がいますが、いずれは圃場管理まで任せていただける体制を目指しています。

新規就農を考えている方へメッセージをお願いします

藤原昌樹さん

農業を始めるというと、家庭菜園の延長線上で「作物を育てる」ということしかイメージにない人が多いと思います。でも、実際は「育てる」から「売る」ところまで計画的に考えなければなりません。その意味では“農家”は“経営者”にならないと駄目なんです。土地や気候という与えられた条件の中で、経常収支を確認しながら、ベストの作物を選び抜いてつくっていく。それを売るためには、地域や生産者のつながりも重要ですし、販売者や消費者の欲しているものが何かという情報も入れていく必要がある。厳しい言い方になりますが、これから就農するのであれば、自分が動かなければ、何も始まらないということを肝に銘じておくべきです。

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