がんばる農業者紹介

【がんばる農業者紹介 No.13】農業は一人でするものじゃない

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安友 健二(やすとも けんじ)さん

現住所:徳島県阿波市阿波町
経営品目(面積):なす(8a)・ブロッコリー(20a)・ミニ白菜(30a)

芸人から農家への転身。農業は試行錯誤の連続。

就農のきっかけを教えてください

実家は農家でしたが、私はかつて違う仕事をしていました。実は私、東京で11年間芸人をしておりました。所属事務所は某Y興業です(笑)。
父親が病気になってしまったことをきっかけに実家に戻って就農しました。

どんな作物を生産していますか?

 

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夏にはナスを、冬にはブロッコリーとミニ白菜を栽培しています。ナスは皆さんも一般的によく見かける千両なすと、阿波市の若手農業者グループ「*GOTTSO阿波」で取り組む翡翠色のなす「美~ナス」を栽培しています(※美~ナスについてはNo.11の日岡 氏の記事にも掲載)。冬に栽培しているミニ白菜は、2年前から試行錯誤してようやく今年ブランド化に至りました。最近の時代のニーズに即して、一人暮らしの人や核家族の家庭をターゲットに「一回食べ切りサイズ」をキーワードに開発してきました。食べ切りサイズの他にも「サラダでも使える甘さ」も追求してきました。ブランド名は「ミルフィ~菜」です。皆さん、覚えておいてくださいね(笑)。この「ミルフィ~菜」は、化学合成農薬・化学肥料の窒素成分を節減して栽培した「*特別栽培農産物」となっています。なので安心して食べてもらうことができます。これからどんどん売り込みますので、目にしたときはぜひとも手にとって、実際に食べてみてください!

*GOTTSO阿波…阿波市の農業後継者が中心となって組織されたグループ。2011年に阿波市観光協会の所属グループとして発足し、徳島県阿波市産の野菜と観光のPRを行っている。GOTTSO(ごっつぉ)とは阿波弁で「ごちそう」という意味の「ごっつぉう」から変化したもので、そこに地元の地名をプラスして「GOTTSO阿波」となった。
*特別栽培農産物…当該農産物が生産された地域の慣行レベル(各地域の慣行的に行われている節減対象農薬及び化学肥料の使用状況)に比べて、「節減対象農薬の使用回数が50%以下」・「化学肥料の窒素成分量が50%以下」で栽培された農産物のこと。(農林水産省HP「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」より)

独自の農法や工夫にはどんなものがありますか?

 

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栽培方法自体に特別なものはありませんが...あえて言うなら、横のつながりを重視して農業を営んでいることですかね。農法とは違いますが。私自身「GOTTSO阿波」や「阿波町農業後継者クラブ」に所属していて、同じ農業を営むなかまと情報共有できることがすごく役に立っています。情報共有以外にも様々なイベントを経験することもできます。今度「*農業青年の意見発表」という催しで全国の農業青年の前で発表することになっています。そんな貴重な機会に恵まれたのも組織に属していたからだと思いますね。

*農業青年の意見発表…農業青年クラブが主催の会議にて開催される意見発表。県大会・中四国などのブロック大会を勝ち抜いた者が全国大会で発表する機会を得る。最優秀者には農林水産大臣賞が授与される。

 

 

自分の頑張りが稼ぎとして現れる。これが農業の魅力。

農業の苦労と喜びはどんなところですか?

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苦労はやはり金銭面ですね。設備投資にしても、資材にしても最近価格が高騰しています。その反面、農産物そのものの価格はさほど上昇していませんので、なかなかしんどいですね...。
喜びは、一から十まで自分で経営できるところです。ある種、農産物は自分の作品のような部分があります。それを消費者に届けることができるのは農業の特権だと思います。苦労した分だけ見返りがあるというか...。自分で作った物で直接的に対価を得られることもモチベーションにつながりますね。サラリーマンではなかなか味わえない感覚だと思います。また、自分の時間を作れることも魅力です。自分で経営しているので、スケジュール管理次第でいくらでも自分の時間を産み出せます。こうした点も農業ならではじゃないかなと思います。

 

農業を続けていく秘訣は?

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ずばり、なかまの存在ですね。就農当初は農業は一人でやるものとばかり思っていました。でも、なかまに出会えて、栽培技術や販路のことなど、お互い情報交換し、自身の農業について選択肢がかなり広がりました。最初に「GOTTSO阿波」に誘ってくれた同級生には今でも感謝しています。

これからやっていきたいこと、展開していきたい方向性は?

「美~ナス」や「ミルフィ~菜」を全国、そして世界に発信していきたいですね。今でも「美~ナス」のアイスを開発したり、「ミルフィ~菜」と有名人のコラボを実現させたりと試行錯誤・挑戦の毎日を送っています。いつか「徳島の野菜と言えば?」という質問に「美~ナス」や「ミルフィ~菜」が挙がってくれることを目標に頑張ります。

これから農業を始める方へエールをお願いします!

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いわゆる3K(きつい・汚い・稼げない)というイメージはないということを覚えておいてほしいです。このマイナスイメージは自分の頑張りでいくらでも克服できます。あとは、一人でできることって限られてますから、どんどん自分から動いて農業をしてほしいです。団体に属するもよし、地域の農業支援センターを活用するもよしです。農業支援センターって意外と知られてませんけど、すごく便利なんですよ。大体の相談は受けてくれますし、抱える課題を解決してくれる組織や人とつないでくれますし。とにかく利用できるものは全て利用するくらいの意気込みが必要です。組織にしても助成金にしても。とにかく自分から動いてみてください。

活用した補助事業

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